21 May – 2 Jul
先間康博 / Yasuhiro Sakima
Wildfire Photo Exhibition
13:00-19:00
日・月・祝日休
Closed on Sun, Mon and Holidays
Opening reception / 18:00 - 20:30, 21 May 2016
もう十年以上前、自然との境界線に立つ果樹園の木々に、大自然への感傷でも、人の営みへの郷愁でもない、何か特別な空間があるのではないかという考えが思い浮かび撮影を始めたのだった。
そして実際、そこには、静かなとても美しい場所が広がっていた。
そしてすぐ、初めて見る赤い林檎が撓わに実る様を目にし、強く惹かれてしまったのだった。
それからというもの、毎年赤く色づく林檎園に通い続けている。
思えば、ニュートンは林檎の実の落下から万有引力を着想し、セザンヌはテーブルの上の林檎から色面の深さを探っている。
そのように林檎にはどこか、ものを見るということの本質が隠されているのかもしれない。
とにかく、何度見ても、常に新しい姿を見せてくれている。
その姿は、確かに林檎の樹そのものの変化ではある。
しかし、膨大に広がる林檎園の無限とも言える枝、一本一本を把握できるはずもなく、その新しい姿とは、もしかしたら見るこちら側の変化から来ているものなのかもしれない。
捕らえきれず、毎年変化して行く林檎の樹を、私はどのように捕らえるのか。
それは、自分自身がいま、どのように世界を眺め、どう感じているのか、ということなのだろう。
気がつけば、野火の煙の中にいた。炎は静かに燃え上がり、見るものすべてが翳みゆく。
ならば我々、内なる煙は、どこから漂ってきたのだろう。自身の中、それともどこか遠くからか。
でも、見つめると目が染みる。
いつか世界を、再び焼き尽くすことがあるのだろうか。
だとしても私は、その時までこの幻を見続けなければならない。
ここ3年間撮影した林檎園の写真を60点以上を中心に展示を行う。