22 Mar – 26 Apr 2025

中條直人/Naohito Nakajo
”21”

13:00-18:00
日・月 休廊
Closed on Sun, Mon and Holidays

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※ 土曜日に限り、予約なしでご来廊いただけます。

“21” 中條直人

『個性』というものに注目していく。
その『個性』とは通常の観念のものではなく、私たちの身体をかたち作る全ての細胞において少しだけ構造が違う「生命のかたち」を持つ人間の姿についてである。少なくとも私は一つの契機によってそんな風に考えなければならなくなった。

これを宿命というのか。
今回の作品には息子の姿がモチーフになっている。彼は『21トリソミー』といういわゆる染色体異常の一つであるダウン症なのだ。この染色体の数や構造的な異常を現代の医学では治すことはできず、そのため対処療法的な治療に頼らざるを得ない。彼の場合も生まれつき心疾患があり、1歳に満たない間に大きな手術を2回したおかげで今の生活に繋がっている。

私は人間としての存在とは、もっと精神的な向上のことを指すものだと信じていた。そのことによって人間とはどこまで進化できるのかを夢想していた。それは暗黙に健常者の立場として。だがそれ以外の身体的なハンディキャップ、つまり細胞の構造的な異常によって与えられた命が人間としてどのように存在できるのか。またその意味と現実とは何なのかを私生活で突きつけられた時、私の中でどこかある固定観念や価値観が崩壊した。

「白紙」に戻さねばならない。さらにそこを思考する心的余地を作らなければならないと。この治療不可能の状態を『個性』という位置付けで認識して寛容に受け入れていくことを求められていた。

この「個性」というものを単なる一つのカテゴリーで括ることはできないと感じる。そこには人としての発達とその過程において、現代のAIのテクノロジーの進化し続ける状態とは比肩できないほど情報量に差があるとは言え、決してアルゴリズムでは解決できない「人間とは何か」という混沌とした命題が未成熟な領域として横たわっているからだ。

健常者や、完全を目指すであろう進化し続けるAIによるテクノロジーとの差異など、様々な他者との「差異」によって見えてくる輪郭と、そこを埋めていくその何かをずっと考え続けていかなければならない。

中條直人

1960    三重県生まれ
1985    愛知県立芸術大学美術学部美術科絵画専攻(油画)卒業
愛知県名古屋市在住

主な個展
2025「21」Gallery HAM(名古屋)
2022「子どもたちのために ー変身ー」 Gallery HAM(名古屋)
2014「中條直人展 子どもたちのために」織部亭(一宮)
2010「中條直人展」 織部亭(一宮)
2009「BEHIND」 名古屋大学教養教育院プロジェクトギャラリー clas(名古屋)
2004「テーマ展 中條直人-アプリオリ」 愛知県美術館  展示室6(名古屋)
2000「A PRIORI Ⅲ」  豊田市美術館  ギャラリー9(豊田)
1998「A PRIORI Ⅰ-Ⅲ」  豊田市美術館  ギャラリー9(豊田)
1995「赤  1995」  PIG NOSE GALLERY(京都)
1991「中條直人展」 Lovecollection Gallery(名古屋)

主なグループ展
2019「アイチアートクロニクル展1919-2019」 愛知県美術館(名古屋)
2011「古典」ALA Project No.4 アートラボあいち(名古屋)
2007「City_net Asia 2007」 ソウル市美術館(ソウル)
1994「art-exhibition 2」 名古屋市民ギャラリー(名古屋)

Naohito NAKAJO

biography
1960 Born in Mie Prefecture
1985 Graduated from Aichi University of the Arts
Lives in Nagoya

selected solo exhibition
2025 ”21” Gallery HAM (Nagoya)
2022 “For the children -Transformation-” Gallery HAM (Nagoya) 2014 “For the children” Oribetei (Ichinomiya)
2010 solo exhibition Oribetei (Ichinomiya)
2009 “BEHIND” Nagoya University project gallery「clas」 (Nagoya)
2004 “NAOHITO NAKAJO – A PRIORI” Aichi Prefectual Museum of Art (Nagoya)
2000 “A PRIORI Ⅲ” Toyota Municipal Museum of Art gallery 9 (Toyota)
1998 “A PRIORI Ⅰ-Ⅲ” Toyota Municipal Museum of Art gallery 9 (Toyota)
1995 “RED 1995” PIG NOSE GALLERY (Kyoto)
1991 solo exhibition Lovecollection Gallery (Nagoya)

selected group exhibition
2019 Grand Reopening Exhibition “Aichi Art Chronicle 1919-2019” Aichi Prefectual Museum of Art (Nagoya)
2011 “CLASSIC” ALA Project No.4 Art Lab Aichi (Nagoya)
2007 “City_net Asia 2007” Seoul Museum of Art (Seoul)
1994 “art-exhibition 2″  Nagoya Citizen’s Gallery Sakae  (Nagoya)