27 Jun – 8 Aug 2015

大和由佳 / Yuka Yamato
発話を忘れて

13:00-19:00
日・月・祝日休
Closed on Sun, Mon and Holidays

Opening reception / 17:30 - 20:00, 27 Jun 2015

-「我が祖国カタルーニャでは、鳥がpeace peace peaceと鳴くのです」
1971年国連総会のスピーチでこう述べたあと、
人生の大半を平和運動に費やした著名な音楽家、パブロ・カザルスは
カタルーニャ民謡をベースとした「鳥の歌」という曲を40年ぶりにチェロで演奏した

-日本に生まれ、若い頃から英語を学んできた私の母親は、通訳の資格までとりながら、
専業主婦として家事と子育てをする合間に、自宅の小さな机に向かい読書をして過ごした

発せられなかった言葉はうず高くそびえ、
それに比べ音となってこの世の中に発せられた言葉は、
あまりに少なく小さな島。
その山の壁に、いまさら、手を添えどれだけ耳を押しつけても、
声帯から離れてしまった言葉は、空気を押しのけるだけで、
それを震わす音となることはもうない。
間に合わない、間に合わなかったというのは、そういうことだ。

鳥が木立の間で、子らに鳴き方を教えている。
9つの気嚢、効率のよい呼吸が鳴管を通る。
その場所ならばとても響き渡るので、つかのま発話を忘れて発声を。
2つの肺を持たせてもらった私は、それを盗み聞きしている。

よくその声を聴きなさい。せめて自分はよく聴きなさい。
聴くひとがいなければ、いないことになってしまう。

そっと運ばれる匙に口が開く。
あらゆる、すべてのひとびとが、
そのように発声する時間を、長引かせるための

-
この展覧会は、2014年1月18日から2月28日まで当ギャラリーにて開催された鈴木孝幸、大和由佳、山田沙奈恵による三人展「中之条/名古屋」の延長上に位置しています。「もの、こと、言葉」をテーマとした前回に続き、今回は三人により設けられた「忘れる」というテーマに沿って、三つの個展を開催いたします。これらの個展はそれぞれ独立した内容になっていますが、連続して見てもらうことにより、「忘れる」ことがもつ可能性をより深く提示できると考えます。

・鈴木 孝幸 [歩き方を忘れる place/cllif] 2015年5月9日(土)-6月20日(土)
・大和 由佳 [発話を忘れて <カザルスと母の巣箱>] 2015年6月27日(土)-8月8日(土)
・山田 沙奈恵 2015年9月12日(土)-10月24日(土)